高齢者向けリフォーム 工事中と完了後に後悔しないための確認ポイント
高齢者向けのリフォームでは、信頼できる業者を選ぶことが大切ですが、契約をして工事が始まってからもいくつか注意しておきたい点があります。工事が計画通りに進んでいるか、仕上がりは問題ないかなど、確認すべきポイントを知っておくことで、後々「こんなはずではなかった」と後悔することを避けることができます。
この記事では、高齢者向けリフォームの工事中や工事が完了した後に、安心して納得のいくリフォームを実現するための確認ポイントをご紹介します。
工事中に確認しておきたいこと
工事が始まると、職人さんが出入りしたり、音が響いたりと、普段とは違う状況になります。工事の邪魔にならないように、と遠慮してしまうこともあるかもしれませんが、心配なことや疑問に思うことがあれば、気軽に業者の方に尋ねてみましょう。
1. 定期的な進捗確認(無理のない範囲で)
毎日現場に立ち会う必要はありませんが、可能であれば数日に一度など、無理のない範囲で工事の進み具合を見てみましょう。特に、重要な工程(手すりの設置場所の最終確認、段差解消のための基礎工事など)については、可能であれば立ち会って説明を受けると安心です。
2. 現場でのコミュニケーション
工事中に何か気になることがあれば、その場で現場の担当者や職人さんに尋ねてみましょう。例えば、「この手すりの高さはこれで合っていますか?」「壁の補強はきちんとされましたか?」など、具体的に質問すると良いでしょう。専門用語が分からなければ、「これはどういう意味ですか?」と遠慮なく聞いて構いません。業者側も、依頼主の関心や要望を理解することで、より丁寧な仕事につながります。
3. 追加・変更工事の取り決め
工事を進める中で、当初の計画にはなかった追加の工事が必要になったり、内容を変更したくなったりすることがあるかもしれません。このような場合、必ず書面で確認するようにしてください。口約束だけでは、後々言った言わないのトラブルになりやすいです。「追加工事の内容」「費用」「工期への影響」などを明記した追加契約書や覚書を交わすことが大切です。
4. 近隣への配慮について
リフォーム工事中は、騒音や振動が発生することがあります。事前に業者と、「工事を行う時間帯」「近隣への挨拶は誰が行うか」「騒音対策として何をするか」などを確認しておくと、近所トラブルを防ぐことができます。業者には、周囲への配慮をお願いしておきましょう。
工事完了時にしっかりと確認すべきポイント
いよいよ工事が完了したら、業者から引き渡しが行われます。この時に、工事が契約通りにきちんと行われているか、細部までしっかりと確認することが非常に重要です。焦らず、時間をかけて確認しましょう。
1. 契約内容との照合
まず、最初に交わした契約書や工事請負契約書を見ながら、工事が契約通りの内容で完了しているか確認します。 * 工事範囲: どの場所をリフォームする契約でしたか? * 工事内容: 段差解消、手すりの設置、扉の交換など、それぞれの工事は計画通りに行われていますか? * 使用材料: 契約書に書かれている材料や製品が使われていますか?(例:特定の手すりのメーカー、滑りにくい床材など)
2. 仕上がりと機能の確認
実際にリフォームした箇所を見て触って、仕上がりを確認します。 * バリアフリー機能: * 設置した手すりは、体重をかけてもグラつかず、しっかり固定されていますか? 握りやすい高さや太さになっていますか? * 段差を解消した場所は、本当に安全に通れるようになりましたか? * 滑り止めを設置した床は、滑りにくくなっていますか? * 開けやすくした扉は、スムーズに開閉できますか? * 全体の仕上がり: 壁や床、取り付けた設備に傷や汚れはありませんか? 見た目が綺麗に仕上がっていますか? * 工事範囲外の確認: 工事を行った場所だけでなく、そこに至る通路や周りの壁、家具などに傷をつけられていないかも確認しましょう。
3. 清掃状況
工事後の片付けや清掃がきちんと行われているか確認します。ホコリやゴミが残っていないか、工事で使った養生材などが撤去されているかを見ましょう。
4. 設備の操作説明
新しく設置した設備(例えば、介護用の特殊な浴槽や昇降機など)がある場合は、使い方やお手入れ方法について業者からしっかりと説明を受けましょう。自分で実際に操作してみて、分からないことはその場で質問してください。
5. 引渡し書類の確認
工事完了の確認が終わったら、業者から工事完了に関する書類や、設置した設備の保証書、今後のメンテナンスに関する書類などが渡されます。これらの書類が揃っているか確認し、大切に保管しておきましょう。
6. 代金の支払い
工事代金の支払いは、通常、工事完了・確認後に行います。契約で定められた支払い期日や方法に従って支払います。工事内容に不備があるなど、納得できない点がある場合は、支払いを一時的に保留し、業者と話し合う必要があります。
万が一、工事中や完了後にトラブルがあったら
どんなに気をつけていても、予期せぬトラブルが起きる可能性もゼロではありません。もしも「工事の仕上がりがおかしい」「契約内容と違う」「工事後に不具合が見つかった」といった問題が発生した場合は、落ち着いて対応することが大切です。
1. まずは業者に連絡・相談
発見した不具合や疑問点について、まずはリフォームを依頼した業者に連絡し、状況を具体的に伝えて改善を求めましょう。この時、いつ、どのような不具合が見つかったのかを記録しておくと、後の話し合いで役立ちます。可能であれば、不具合箇所の写真を撮っておくと良いでしょう。
2. 話し合いの内容は記録しておく
業者との話し合いは、口頭だけでなく、メールや書面でもやり取りを残すようにすると安心です。どのような内容で、いつ話し合ったのかを記録しておくことで、「言った・言わない」のトラブルを防ぎ、もし解決に至らなかった場合の証拠にもなります。
3. 解決しない場合は公的な窓口へ相談
業者との話し合いで問題が解決しない場合や、対応に誠意が見られないと感じた場合は、一人で悩まずに外部の専門機関に相談しましょう。 * 消費生活センター: リフォーム工事に関する相談や、業者との間に入ってのあっせんなどを行ってくれます。最寄りの消費生活センターに電話または訪問して相談できます。 * 住宅リフォーム・紛争処理支援センター: 住宅リフォームに関する様々な相談を受け付けている機関です。専門的な知見からのアドバイスや、弁護士・建築士による相談、あっせん・調停制度を利用することも可能です。
まとめ
高齢者向けリフォームは、生活の安全と快適さを守るための大切な投資です。業者選びから始まり、工事中、そして完了後の確認まで、それぞれの段階で適切な行動をとることが、成功のカギとなります。
工事中に心配なことは遠慮なく尋ね、工事完了時には焦らずじっくりと、契約通りに仕上がっているかを確認しましょう。万が一、問題が発生した場合でも、一人で抱え込まず、まずは業者に相談し、必要であれば公的な機関のサポートを借りることで、安心して問題を解決へ導くことができます。
この記事でご紹介した確認ポイントが、皆様の安心・安全なリフォームに役立つことを願っております。