失敗しない業者選びガイド

高齢者向けリフォーム そろそろ必要？と感じたら知るべき 自宅の困りごと整理と安心の相談先ガイド

そろそろリフォームが必要かな？と感じたら、まず何をすれば安心か

ご自宅で暮らし続ける中で、「ちょっとした段差が気になる」「手すりがあればもっと安心なのに」「お風呂が寒くてつらい」など、これまで気にならなかった点が気になり始めることはありませんでしょうか。

「そろそろリフォームが必要かな」と感じてはいるものの、

• 「どこに相談すれば良いのか分からない」
• 「費用はどれくらいかかるのだろうか」
• 「悪徳業者に騙されたらどうしよう」

といった漠然とした不安から、最初の一歩がなかなか踏み出せないという方もいらっしゃるかもしれません。

大切なのは、焦らず、不安を抱えたまま進めないことです。このガイドでは、「そろそろ」と感じ始めた方が、安心してリフォームの第一歩を踏み出すために知っておくべき「ご自宅の困りごと整理」と「安心できる相談先」について分かりやすくご説明いたします。

まずはご自宅の「困りごと」を具体的に整理しましょう

なぜ、まず「困りごと」を整理することが大切なのでしょうか。それは、ご自身の要望が明確になり、後の相談や業者選びがスムーズに進むだけでなく、悪徳業者に付け入る隙を与えにくくするためでもあります。

ご自身の困りごとや、リフォームによって「どうなりたいか」がはっきりしないまま相談すると、業者のペースで不要な工事を勧められたり、本当に必要な改修が行われなかったりする可能性があります。

整理するといっても、難しく考える必要はありません。例えば、ノートやメモ用紙に、気になる場所や動作を書き出してみることから始められます。

困りごとを整理するヒント

• 場所ごとに考えてみる

  • 玄関：段差、靴の脱ぎ履き
  • 廊下：滑りやすさ、手すり
  • 階段：段差、手すり、上り下りの負担
  • 浴室：滑りやすさ、寒さ、浴槽の出入り、手すり
  • トイレ：立ち座り、手すり
  • 居室：移動、座り立ち、照明
  • 庭・アプローチ：段差、坂道

• 日々の動作で考えてみる

  • 立ち上がる、座る
  • 歩く、移動する
  • 階段を上り下りする
  • お風呂に入る、出る
  • トイレを使う
  • 電気をつける、消す
  • 戸や窓を開け閉めする

• 「もしも」に備えて考えてみる

  • 転倒してしまったら
  • 体調が悪くなった時に移動できるか

書き出す際は、「玄関の段差でつまずきそうになることがある」「お風呂の床が滑りやすい」「夜中にトイレに行くとき、廊下が暗い」のように、具体的な状況を書き添えると、後で相談する際に伝えやすくなります。

また、今後の生活の変化も視野に入れると良いでしょう。今は問題なくても、数年後には必要になるかもしれない手すりや段差解消なども含めて考えておくと、将来的な再リフォームの負担を減らせる場合があります。

整理した「困りごと」を持って、どこに相談するのが安心か

ご自身の困りごとが整理できたら、いよいよ相談です。リフォームに関する相談先はいくつかありますが、まずは中立的な立場でアドバイスをもらえる窓口や、地域の情報を多く持っている専門家に相談することから始めるのがおすすめです。

いきなり特定の業者に連絡するよりも、こうした相談先を経由することで、複数の視点からの意見を聞くことができ、悪徳業者に遭遇するリスクを減らすことができます。

安心できる主な相談先

• 地域包括支援センター

  • お住まいの地域にある、高齢者の暮らしを支える総合相談窓口です。保健師や社会福祉士、ケアマネジャーなどが所属しており、介護保険サービスだけでなく、リフォームに関する相談も受け付けています。介護保険を利用した住宅改修についても情報が得られます。中立的な立場でアドバイスがもらえる点が安心です。

• 地方自治体の相談窓口

  • 多くの自治体が高齢者向けの住宅改修相談窓口を設置しています。補助金制度に関する情報提供や、リフォームに関する一般的な相談、信頼できる業者の紹介を行っている場合もあります。自治体の広報誌やウェブサイトで確認できます。

• ケアマネジャー

  • もし介護保険サービスを利用されている場合は、担当のケアマネジャーに相談するのが最も身近で安心です。ご本人の心身の状態や生活状況を把握しているため、本当に必要な改修について具体的なアドバイスをもらえます。信頼できるリフォーム業者を紹介してもらえることもあります。

• 建築士やリフォームアドバイザー

  • 第三者機関に所属する建築士やリフォームアドバイザーに相談する方法もあります。専門的な知識に基づいて、客観的なアドバイスやプランの提案を受けられます。相談費用がかかる場合もありますが、専門家ならではの視点は大変参考になります。

• 実績のあるリフォーム会社（慎重に選ぶ）

  • もちろん、直接リフォーム会社に相談することも可能ですが、最初の相談先としては上記のような公的な窓口や専門家を経由する方が、比較検討しやすく安心感が増すでしょう。もし直接リフォーム会社に相談する場合は、地域の評判や実績を事前に確認し、複数の会社に声をかけてみることをおすすめします。

最初の相談で気をつけておきたいこと

相談先が決まり、実際に話をしてみる際に、いくつか心に留めておくと良い点があります。

1. 整理した「困りごとリスト」を伝える: 事前にメモした内容を伝えましょう。曖昧な表現ではなく、具体的な状況やどうなりたいかを伝えることで、より的確なアドバイスが得られます。
2. 遠慮なく質問する: 費用について、工事の内容について、期間についてなど、分からないことや不安なことは遠慮せずに質問しましょう。丁寧に分かりやすく答えてくれるかどうかも、その相談先や担当者の信頼性を測る一つの目安になります。
3. その場での契約や決定を求められても急がない: 相談の段階で「今決めないと損をする」「すぐに工事しないと危険だ」などと契約や決定を強く急かされた場合は、一度立ち止まって考えましょう。信頼できる相談先や業者は、必ず検討する時間を与えてくれます。
4. 複数の相談先や業者に話を聞く: 一カ所だけの意見で決めず、複数の相談先や業者に話を聞くことで、様々な視点からの提案を得られます。比較検討することで、ご自身にとって最適な方法が見えてきます。

もし不安になったら、困ったら

相談を進める中で、「あれ？おかしいな」「どうも納得できない」と感じることがあったり、万が一、悪質な勧誘を受けてしまったりした場合は、一人で悩まず、すぐに相談してください。

困ったときの相談窓口

• 消費者ホットライン（電話番号：188）

  • お住まいの地域の消費生活センター等をご案内します。消費生活全般に関する相談を受け付けており、リフォーム工事に関するトラブルについても相談できます。

• 自治体の消費生活相談窓口

  • お住まいの自治体にも消費生活相談窓口があります。具体的なトラブルについて、専門の相談員がアドバイスやあっせんを行ってくれます。

こうした公的な窓口は、中立的な立場で話を聞いてくれるため、安心して相談することができます。

まとめ

高齢者向けリフォームを検討し始めたとき、「そろそろ必要かな」と感じたら、まずはご自宅の「困りごと」を具体的に書き出してみることから始めてみましょう。そして、その整理した内容を持って、地域包括支援センターや自治体の相談窓口といった、中立的な立場で安心できる相談先に足を運んでみてください。

最初の一歩を焦らず、ご自身のペースで進めることが、安心できるリフォームへの一番の近道です。このガイドが、皆様の不安を少しでも和らげ、より快適で安全な暮らしを実現するためのお役に立てれば幸いです。